現況報告

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構造偽装U 051217

構造計算偽装の建物が17都府県・75棟になりました。

・構造設計者
国土交通省は木村建設の施工した全てを(200棟超)を再チェック
するようです。姉歯元建築士以外で偽装計算をした人がいる可能性が
あります。

国交省認定プログラムの構造計算ソフトが106種類あり、全て改ざんが
可能と発表されました。姉歯氏も旧バージョンでは不可だったものが
新バージョンでは任意に変更できると証言していました。

・確認審査機関
民間機関も行政もどちらも偽装を見逃していました。行政で確認審査
をしている知人に聞くと「我々もたぶん見逃すであろう」と言ってい
ます。イーホームズが国交省構造審査のチェック・マニュアルを示し
それに則り審査を行なったと発表していました。行政の審査も同様で
部分的にしかチェックしません。「計算書全てのチェックをすれば?」
と言うと「我々は審査をするのであって計算書全てのチェックは設計
することになる。時間も膨大にかかる。一級建築士の構造設計を信頼
することが前提で審査を行なっている」

・中間検査
上記の確認審査機関の人が現場検査に来ます。設計図面どおりに施工
されているか照合します。今回の事件のように明白に鉄筋量が不足を
指摘できるベテランがいるかどうか。

複数階の建物で中間検査回数は一回のみです。残りは自主チェックで
完了検査時に工事報告書で提出します。審査がより厳しく保証制度も
ある『住宅性能表示制度』でも7階毎でその他の階は書類提出です。

・統括
国交省も偽装の再発防止を講じるでしょう。
構造ソフトの改ざん防止・官民問わず確認審査の構造チェック方法の
見直し・建築士の専門化・更新制

現場検査の頻度は各階検査が理想ですが現況の申告制のままでしょう。
ゼネコンの設計施工であれば一社のみの検査になり、できれば第三者
の現場監理を行なうことでチェック機会も増え、建築主にとってより
安心な建物になります。

最近の講習会や研修会でも話題にのぼります。構造設計担当の建築士
は「経済設計を目指しているが、偽装は考えられないこと」と誰もが
思うコメントです。構造設計は人の命にかかわることで、計算ミスは
あるかも知れないが?人為的な改ざんは悪質です。今後はベテランに
よる簡単なダブルチェックを行なう等、自主管理が必要です。








構造偽装 051202

最近の話題の一つでヤクルトおばさんにも質問されました。

12/1のニュースでは耐震偽装を見抜いた設計事務所代表がコメントを
しています。1年半前にA建築士の偽造がわかり構造計算をやり直した。
今年の10月半ばに別のゼネコンから設計の点検を依頼され、柱・梁が
極端に細く鉄筋が少ない。「こんないい加減な仕事をするのは1人しか
知らない。」やはりA建築士だった。どちらの物件も民間の検査機関で
確認申請許可済みで、それぞれの機関に不備を指摘した。

一例として
○地中梁(1階下部の柱同士の基礎を繋ぐ梁)
正常設計   梁幅 90cm×梁成 250cm 鉄筋 直径32mm×17本
A建築士設計 梁幅 55cm×梁成 250cm 鉄筋 直径25mm×5本
正常な梁断面に対して60%、鉄筋量は20%で一目瞭然です。

○柱・梁リスト(同一箇所の柱・梁が1階から最上階まで書かれた図面)
断面の寸法が同じ。通常は3・4階下がるごとに大きくなります。鉄筋の
本数が下階で増加しない。

11/29に衆議院国土交通委員会の参考人招致がされました。最初に
質問に立った衆議院議員吉田六左エ門氏は早稲田大学の松井源吾
(構造の大家)研で学んだ一級建築士です。施工したK建設には一級
建築士・一級建築施工管理技士が複数いるのに何故初歩的(=通常
より断面寸法や鉄筋量が少ない)なミスを見抜けなかったのか糾弾して
いました。
偽装した建築士に対して「私も含めて全国にいる30万余の一級建築士
が忸怩たる思い。」と結んでいました。

今回の多くの欠陥建物は、A建築士+民間審査機関+K建設の組合せ
で起こった事だと、当初は認識していました。日を追うごとに民間審査
機関だけでなく行政の審査で見逃した建物もわかってきました。建設
会社もK建設だけでなく一部上場の会社も含まれています。

11/30現在の耐力不足建物が12都県49棟。日々増加の傾向です。

構造関係の流れ・チェックシステム
  1.構造設計・・・構造設計事務所
     ↓
  2.確認申請構造関係審査・・・確認審査機関 (民間または行政)
     ↓
  3.現場施工・・・建設会社・自社管理
     ↓
  4.現場監理・・・設計事務所
     ↓
  5.現場検査(中間検査)・・・確認審査機関 (民間または行政)

1・4は設計事務所、2・5は確認審査機関は殆どの場合同一会社です。
2の審査内容は構造計算書と図面、3・4・5は現場施工の状態を図面と
照合します。

2〜5まで4回も検査機会があり、今回のような耐力不足で設計されて
いる建物はベテランの技術者であれば他の建物に比べて『勘』だけで
柱や梁の断面寸法が小さい、鉄筋が少ないと一目見てわかるでしょう。
ごまかして書いた図面を絶対視したのか2・3・4・5の何れもチェック機能
が働いていません。

◎防止対策
偽装防止として国土交通省も「確認申請構造審査」の方法を具体的に
改良すると思われます。(希望的観測ですが)
今回の故意の構造計算書の改ざんは日航逆噴射事件のようです。
普通の構造設計者は意匠設計者やゼネコン・事業主の要求に対して
耐力的に極限であれば妥協はしません。

何かの勘違いで図面同士で整合性がなかったり、正常な構造計算に
よる図面であっても施工時に不具合が起こることがあります。上記3・4
の現場検査が重要です。審査機関提出の写真記録も資料になります。

民間または行政による構造関係の現場検査は基礎の配筋時と、上記5
の中間検査の2回です。中間検査の時期は審査機関毎に異なりますが
最上階床が多い。例えば5階建てであれば基礎・5階床部分が上記3・
4・5の検査を受け、その他の階2・3・4・屋階はゼネコンと設計事務所の
検査になります。ゼネコンの設計・施工であれば単独の検査になります。

これからは情報開示が必要になってくるでしょう。
マンションを購入される方が、販売所・モデルルームで設計図面や構造
計算書をCDのデータでもらって、第三者の専門家のチェックを受ける。
工事中の検査記録や写真・強度試験書・材料の納品書・性能書・成分表
などの開示は理解不可でも専門家に相談する時の資料になります。

「マンションは管理を買う」と言われ、入居後の建物管理の入念さだけで
なく、工事中の現場管理も重大です。設計事務所の「監理報告書」や施工
会社の「施工報告書」の月間報告も本来は建築主(事業主)を対象に提出
しますが、購入者に対しても閲覧できれば安心感が増すでしょう。

また竣工図面や文書は経年劣化しますので、アーカイブとして電磁記録
でコンパクトに保存し、後々に改修する時に役立ちます。







食 住 衣 050407

学生時代の講義の余談で、日本では生活の三要素を『衣食住』と呼ぶ
がヨーロッパでは『食住衣』という順番で並べると聞きました。
日本では一張羅の服を着た人が土管?のような家から出てくると比喩
で言っていました。

現在は『衣』に対して認識も多様化し、ユニクロ等の楽なもの、清潔
でピシッとしていれば良い、気に入ったものを何年か着るという考え
や流行の先端を追う、という個人の興味度の違いが如実に表れます。

『食』は生命維持の源になるもので、栄養のある食物を食べて『食』
で健康を創り、良い食材をおいしく料理し食事を楽しむ。いっぽう
添加物の多いファーストフード・インスタント食品でアレルギーや
キレやすい新たな病気が起きています。

『住』は生活の基準になり、住環境が生活全般に及ぼしている影響
は大きな割合を占めます。10年前の阪神淡路地震の体育館・公民館
の避難所、その後の仮設住宅の期限付き生活は、ストレスにより健康
を害する人が多くでました。
少年犯罪の起きやすい住宅平面の本が出版されたり、TVでは増改築
の一部始終の番組も注目されています。

「衣食足りて礼節を知る」という中国のことわざがありますが、現在
『住』の充実が足りないのでは。







日影規制 041227

集合住宅で北向きに階段状に住戸が削られたり、端部の住戸の
階数を低くするのは日影規制をクリアーする一つの方法です。
最近の斜線制限・採光・容積などの法規の緩和は建築可能な
範囲が増加していますが、日影に関しては5年前に緩和の数値が
追加されましたが適用する行政はわずかです。

建築基準法では冬至の日を基準に日影時間を検討します。
12/21の大阪の冬至は日の出7:01・日の入16:51でした。対象
時刻の8:00から16:00までの間に一定時間以上の日影を発生
しないよう計画します。たとえば規制値が4時間の場合8時から
12時まで日影が連続するケース、9時から11時・14時から16時の
日影がトータルで超えないようにしなければなりません。

日影を落とす範囲は敷地境界線から隣地方向へ5mから10m以内と
10mを超える地域に規制値が設定されています。道路や川等に
接する時には緩和があります。

日影を落とす面は地盤面から1.5m・4mの高さを対象にします。
1.5mは1階窓面・4mは2階窓面を想定し5年前に6.5m(3階窓面)が
追加されましたが適用する行政は多くありません。

3階以上、軒高が7mを超える、建築物の高さが10mを超える等、
行政ごとの条件で事前説明を周辺住民にしなければなりません。
日影図を書いて基準法を遵守する建物ですが、地盤面にできる
実際の日影時間は多くなり、顕著な場合にはマスコミで取上げ
られることもあり、十分な説明を求められます。

日影だけでなくテレビ電波の影響をシュミレーションして提出
を義務付ける行政もあり、アンテナ対策等既存住民への配慮も
必要です。

バブル前の乱立気味の時には周辺住民の承諾の押印が必要との
不可能に近い制度を設けた行政もありましたが、現在では住民
との事前説明を開催したという報告書で受理されています。







ダンピング 041206

建設会社の競合入札で設計時の積算を大幅に下回る施工費で受注する
会社があります。設計図書にはJIS・JASSなど公的な仕様を書込んで
います。施工会社からの低価格の発注に対して、材料メーカーは最低
ランクの仕様をクリアーするが、原設計より劣る製品を納入している
ようで、専門業者でないと納品の差異はわからないそうです。

建築主にとって建築費を抑えるのはいいのですが、通常より異常な
低価格のダンピングは品質面で問題が出る可能性が大きくあります。

ダンピングの受注物件は瑕疵の生じないよう現場監理は特に念入りに
する必要があります。上記のようなすり替えの出来ないような契約時
の図面や仕様書の内容で、施工もチェックできる方式をよりいっそう
充実しなければなりません。メーカー仕様を明確にしたり、平方当り
単価の下限を設けたり、品質証明・責任を書類提出等、監理の方法を
一考しなければなりません。







判 定 士 041026

新潟県中越地震が10/23夕方に発生しました。これ以上被害が拡大
しないようにと祈るばかりです。

新潟県が以前に予測した被害はM7想定で43000棟だったそうです。
10/26正午現在の建物の被害は5416棟、内住宅は3883棟で予測を
下回っています。1M以上の多雪地域、強風が吹く場所で堅牢に建て
られているようです。

木造家屋の建物全体に、11.5cm角くらいの柱を使用し他地域に比べ
大きな柱が使われています。基礎高さは平均で66.5cmで全国平均の
倍の高さです。これにより剛性(変形のしにくさ)は8倍近くなります。

被害の大きい建物は、建築基準法の構造基準が改正されたS56以前
の建物が多いようです。

10/20に被災建築物の応急危険度判定養成講習会を受講しました。
地震による被災建物を、余震による倒壊・部材の落下から生じる二次
災害を防止し、住民の安全確保を図るために、行政職員や民間ボラン
ティアとして専門家を判定士として講習しています。

『危 険』(赤色)・・・立入禁止
『要注意』(黄色)・・・十分注意
『調査済』(緑色)・・・被災程度は小さい
二人一組でステッカーを貼っていきます。
マニュアルでは木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート別に規定を設けて重要
箇所に赤アンダーラインを引くよう指導され、現場であわてないように
チェック項目の判定基準が書かれています。

例えば木造の層間変位角(建物の傾斜の割合=水平/高さ)
 1/20・・・・・『危 険』
 1/20〜1/60・・『要注意』
 1/60・・・・・『調査済』
地震後の状態は、地震時の最大層間変位角の半分位と考えられます
が、場合によっては揺れ戻しで変位角が小さくなるケースもあり建具
などで判断する。

判定では、建物を見た第一印象で『危険』と判断すれば以後の調査は
不要で、判定士が内部に入るような危険を犯さないようにする。
建物そのものが安全でも、隣の建物が倒壊しそうだったり、斜面・崖が
崩れ敷地に影響を及ぼす場合には『危険』の判定になります。

判定のステッカーの注記欄には、どこの部署が危険なのか具体的に
詳しく書き、バルコニーの柱が危険であれば玄関扉など異なる場所に
貼らないで当該柱に貼る。

勤務先・自宅のTEL・FAXを書いて、呼出し依頼に対応できるよう登録
しました。地方公共団体からの要請で判定を行ない、個人で傷害保険
をかけていたのが、現在は行政の負担になりました。










基準法改正・景観緑三法 041008

建築基準法改正が6/2公布・1年内に施行、景観緑三法が6/18公布・
6ヶ月以内に施行予定です。今回の法改正は地震・火災に強い建築物
ストックを再生し、建築物に係る報告・検査制度を充実・強化しています。
景観法は行政だけでなく、住民やNPO法人で立案できる制度になって
います。

現在裁判で争われているマンション建設問題や横浜での地下室扱いの
マンションなどに対して法規制ができるようにしています。十数項目の中
から何点か気付いた項目をピックアップします。

■建築基準法改正

○「安全で安心できる街づくり」促進のために、既存建築物を対象に対処
方法を挙げています。

・改正前・・著しく危険と認める場合のみ、改修等を『命令』します。
・改正後・・放置すれば著しく危険となるおそれがある場合、改修等を
『勧告』し従わない場合『命令』します。『立入検査』の権限強化や、是正
命令に従わない場合の罰則が強化され、罰金が最高一億円に上がりま
した。


○建築基準法では既存建物は遡及(改正後の法律に適合させる)されま
せん。現基準に適合しない「既存不適格建築物」で増改築をする場合

・改正前・・既存部分も増改築後に即座に全基準に適合する必要があり
工事費の負担が重くなって、増改築を断念するケースが多い。
・改正後・・全基準を同時に改修しなくてもよく、第一期:耐震改修工事、
第二期:防火避難改修工事等、全体計画を立て計画終了後に全基準を
適合するよう合理化されました。


○既存不適格木造建物(基礎に鉄筋がなく基準に不適合)で増改築を
する場合

・改正前・・一体の鉄筋コンクリート造の布基礎にしなければならないの
で、既存部分の基礎も建替え同様の措置が必要であるために、大規模
な工事になり改修を断念し危険な状態で放置される。
・改正後・・既存の無筋コンクリート布基礎の立上げ部分に鉄筋コンクリ
ートの増打ち補強を施工したものについては、小規模な増改築を可能と
する。改正前に比べて簡易になった。


○高低差の著しい斜面地において住宅地下室の容積率不算入措置の
算定方法について、地方公共団体が条例により、地域の実情に応じた
ものとして定めることができる。
適用例・・・地盤面の設定方法

・改正前・・高低差3m以内ごとに地盤面を設定
      住宅地下室部分は全体床面積の1/3を限度に容積率不算入
      地上3階地下4階
・改正後(案)・・敷地の最も低い地盤面を条例で指定
      上記(改正前)の住宅地下室部分は全て容積率算入
      地上1階地下4階


■景観緑三法

景観法・都市緑地法・屋外広告物法の一部改正、の三つが一体的に
補完しあいます。
新しい法律の景観法は「都市、農漁村等における良好な景観の形成を
促進するため・・・・」と広範囲・抽象的ですが、国土交通省・環境省・農
水省・文化庁・国税庁とたくさんの省庁が連関して、随時省令を煮詰め
パブリックコメントを募り、施行されます。

「景観計画」の作成は、市町村による景観行政団体だけでなく、住民や
NPO団体も土地所有者等の2/3以上の同意があれば提案が可能です。
「景観計画区域」「景観地区」「景観協定」「景観重要建造物」など建築
物・工作物・樹木だけでなく、棚田・ぶどう・桃・菜の花・ラベンダー畑等
既存の土地利用の栽培放棄の抑制や畑の建物規制も該当します。又
管理者から「景観重要道路」として電線共同溝整備道路の指定の要請
も景観法による特例として可能です。

文化財建物に対して、保存するために建ぺい率や斜線緩和など建築
基準法上の一部を緩和可能にし、相続税の減免、公共団体等に譲渡
した場合の所得税の特別控除、景観形成事業推進費として国の予算
も充当されます。

屋外広告物の条例も景観行政団体である市町村が制定可能になり、
業者が届出制から登録制に変わり、新たに簡易除却対象に広告旗等
が追加されて規制が強まっています。









外 来 語 040729

国立国語研究所から第三回「外来語」言い換え提案33語が発表
されました。「セットバック」=「壁面後退」という建築専門用語が
ありました。意味説明=「建物を道路などから後退させて、建て
ること。又、建物の上の階を下の階より後退させて建てること。」

都市計画法による第1・2種低層住居専用地域、各行政が定める
風致地区、住民の建築協定による地域で、道路・隣地境界線から
場所により1,1.5,2Mほどセットバックして建物を建設します。完備
すれば、ゆとりのある整備された良好な住環境を形作ります。

大阪市の中心部に「船場建築線」の指定された地域があります。
道路中心線から南北方向に6M、東西方向で5Mの位置までセット
バックし、道路境界線と壁面迄の距離(自己所有地)が1M位の
歩道になります。街区ごとに建物・歩道がそろって統一された
街並みになります。

もう一つのセットバックは、道路・隣地・北側斜線、日影規制、高度
地区により建築可能部分が制限され、階段状に壁面が後退します。
『天空率』を適用することによって、道路・隣地・北側斜線のセット
バックを、プランニング次第でなくすことも可能です。

今回の外来語の中に建築と多少関係のある言葉が一つありました。
「ユニバーサルデザイン」=「万人設計」=誰にでも使いやすい設計








C A D 040624

下記『天空率』で書きましたが現在の設計業務ではコンピューターは
必需品になりました。当事務所でも9年前にWindows95が発売される
のを機に導入し、主にCAD(=Computer Aided Design)ソフト利用して
製図を行っています。

ソフト選びにあたって知人の利用ソフトを何種類か見比べ、初心者に
使い勝手の良いソフトを選びました。多くの初期値を記入して作図を
すると、総計の材料数量の積算や建物の折紙模型作図まで出来る
何百万円もする専用ソフト・建築でよく使う1/4円や二重線等の機能
が簡単な操作で描くことができる何十万円の汎用ソフト・機能は多少
劣るが無料でダウンロードできるフリーソフト。現在の主流ソフトは
はAuto-CadとフリーソフトのJWW-Cadです。

CADの出始めた初期は数値やコマンドをキーボードで操作するので
慣れても手間・時間がかかり、コンピューターの素養がないと難しく
記憶媒体も小さく、出来ることも限られていたようです。現在では
操作性が改良され機能が増えて便利になりました。集合住宅の窓の
繰返しや平面の左右逆転プランが簡単にできたり、機器メーカーの
原寸データを貼付利用したり、以前の詳細図をその現場用にアレンジ
して修正作成できます。図面データが構造・設備・施工図面作成に
転用でき能率的になっています。

最初に勤めた事務所では最初は鉛筆を使っていましたが、2mmの
芯ホルダーになり、0.5mmのシャープペンシルに移行しました。線
の綺麗さでは鉛筆→2mmの芯ホルダー→0.5mmの順で、手間が
かかるほど良い線が引けます。
手書き図面では誰が書いたのか、線や文字を見るとわかりますが
CADのプロットアウトの図面では一様で作図者の判別はできません。

著名建築家の事務所(低給料)では鉛筆も自前だと、業界外の人に
聞きました、さもありなんです。手書図面やスケッチで使う筆記具は
事務所から支給される物よりも自分の書き慣れたマイ・ペンシルの
ほうが良いでしょう。私も芯ホルダーに、こだわりを持っています。

CADはあくまで図面作成のコンピューターによる道具です。作図する
までにフリーハンドや平行定規でラフなチェックや下書きをし、清書を
して途中で出図チェックをして書進んでいきます。CADの画面で考え
ながら色々な案を出すのは、フリーハンドのように小回りが効かず
難しいことです。

一級建築士の製図試験はCAD主流の現在でも手書きで行っています。
A2版の製図板を持ち込んで5時間半かけて図面を仕上げます。不慣れ
な手書きではスケッチから答案用紙への清書で時間勝負になります。
採点方法が絶対評価になり合格率が6〜8%台に下がりました。以前
は10%超で、学科試験も建築基準法も増えたり、内容も年々増加
して難しくなっています。








天 空 率 040607

コンピューターソフトの研修に行ってきました。『天空率』という
一昨年施行された新法規に対応するソフトです。

従来の道路・隣地・北側斜線によって境界線から後退したり、壁や
屋根の一部を斜めに削ったり、軒高を下げることによって天井が
一部低くなったりするのが、現場状況によりますが『天空率』を
適用すると緩和されます。斜線によって容積率(敷地面積に対する
延床面積の割合)の上限までとれない敷地で、『天空率』の適応を
受けると床面積を増やす可能性もあります。

5名の受講生が手元にある講師と自己用の画面を見ながら、女性講師
の説明を受けながらコンピューター操作をするのですが、違うボタン
を押したり、線を押さえる方向を間違えて異常な画面が現れたりして
その都度、講師を呼んで全員が修正をしてもらいながら、概略の方法
を習いました。マニュアル本だけでの自己流習得では3倍位の時間が
かかったでしょう。

建物の計画をするラフな段階のときに
『日影』(敷地境界線又は道路中心線から5・10mの範囲の隣地部分に
冬至日の設定で一定時間の建物の影を落とさない)のチェックは、8時
から16時迄の太陽角度と建物高さの双曲線を印刷した透明なシートを
計画図に当て何ヶ所かのポイントで概略の検討をし、類推して建築可の
目途をたてます。最終的にはコンピュター作図をします。

『天空率』では敷地境界線の全てのポイントをクリアしないと不可で
チェックはコンピューターを利用し、有利な形を模索するために建物
形状を計画段階でひんぱんに変えますので慣れるまでに時間がかかり
そうです。行政への確認申請で『天空率』適用は少ないようで、審査
する機関も不慣れで、法の解釈も不明部分もありケース毎にその都度
調整し前例を作る状態です。東京都方式と大阪市の表添付方式があり
ソフトも対応できるよう、大阪市の様式を取入れた最新バージョンも
アップされました。

『天空率』適用の計画次第では建物の建設可能部分が増え、意匠・
構造・経済性に優れた建築ができます。フリーハンドのラフプランの
段階からコンピューターが必要になってきました。








江角年金 040419

年金加入促進の詰問的なCMに出演した江角マキコが年金未払いで
記者会見をしました。
1.本人自身の認識不足
2.保険庁にプレゼンテーションで採用した広告会社の彼女の調査
3.発注元の社会保険庁の彼女の調査
どの時期でも発見できたミスでした。

会見の質問で国民年金への切替え(実業団バレーチーム”JT”時代は
厚生年金加入して、肩をこわし2年でモデル転業時点)をしていたのか
に対して、手続きを知らなかったようで、彼女は返答できませんでした。
本人は確定申告において支払済になっていたので払込んだとの認識
でいたようでした。申告を依頼された税理士が本人の払込書類を確認
しないで払込済としたのか定かではありません。

この稿では役所に提出する書類の申告・申請について建築の場合を
例示します。木造建物の100u以下の2階建まで、鉄筋コンクリート・
鉄骨造等建物の30u以下2階建までの設計は、建築士(1・2級、木造)
の資格は必要ありません。誰でも設計が可能です。が殆どの建築主は
『確認申請』の提出は建設会社・設計事務所に委任して行っています。

我々が委託を受けた時に資料として、地籍登記簿・敷地測量図・前面
道路巾4m未満の道路後退の境界明示(役所・両隣・正面の地主立会)
等の公文書や準じる図面をもとに提出図面・書類を作ります。

設計がある程度進んだ過程で行政に相談をします。市庁の担当部署で
建築基準法の解釈を確認したり、戸建住宅は不問ですが消防の相談
で計画建物の避難方法の考え方を説明して、見解を頂いたりして計画
を法的に満足するよう微調整します。建築主の当初の要望どおりには
ならない時もありますが、役所の担当者に何種類かの変更案を示して
当方の希望に近い案を模索することもあります。消防に関しては人命
に関わることなので、根本的に変更しないと最初の見解が変わること
は少なく、消防予防係は絶対的権限を持っています。

計画が進む段階で建築主に、関連法規を詳しく説明し、苦言を呈する
こともあります。要望を満足するよう、設計者との緊密な意見交換が
必要です。上記の江角女史の申告担当者は払込資料の受取または
不払いの時のアドバイスをしたのか疑問です。







変  化
 040311

近年の建築法規は、税法並に毎年変更されています。

大阪市の場合

第一種・第二種住居地域、準住居地域
・建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
     60% → 80%
・容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)制限の低減数値
     0.4 → 0.6
  例・・・都市計画法による容積率 200%
     前面道路幅員 4mの時 従来 4×0.4 → 160%
     →160%を採用
     今回の変更 4×0.6 → 240% →200%を採用
・防火規制(追加)
 建ぺい率60%を超える場合
  延床面積 500u超える建物・・耐火建物
         500u以下の建物・・耐火建物・準耐火建物

各地方・行政によって数値・内容が異なります。

○全般に建物が建設可能な部分を広げる傾向で変化しています。
・斜線制限
  従来  敷地境界線からの斜線立上げ → 
  変更後 建物と境界線までの距離と同寸法分を敷地外方向に
  「みなし境界線」で斜線立上げ

・採光(住宅の居室の窓面積は床面積の1/7以上必要)斜線
  従来  敷地境界線から住居系地域で水平1、垂直2.5の斜線 →
  変更後 窓の中心から敷地境界線までの水平距離に一定係数を
  掛けた部分

・地下住宅部分、駐車場部分面積の緩和

○健康・環境の規制
・シックハウス・・ホルムアルデヒドの規制
・地中汚染物質の検査・処理(建物規模による)

○計画の事前公開
・一定の条件(例えば最高高さが10mを超える建物)に対して
周辺住民への事前説明

○街並みの景観規制
・道路に面して、高さ・色・植栽等を方向付ける等

新たな法令によって建築主は床面積の増加が可能になり、健康に
留意した建物を得ることができます。一方で行政の手続きが増える
ことによって、時間・金銭的な負担も増します。

シックハウスに対応した材料、24時間換気設備、申請や検査の資料
地中汚染の着工前の検査・処置(例;○ヶ月、○百万円)、近隣への
対応など、必要な手続・工費が増えます。







新築祝い
 040130

二十世紀を代表するアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトは
多くの住宅も設計しました。彼のエピソードで、設計した住宅の
居間には、白いピアノが似合うと設計料以上の高価なピアノを
奥様のために贈ったそうです。

哲学的な建物を設計する白井晟一の建築写真を見ると、古風な
椅子が写っていました。彼がドイツでアンティーク家具を買い求めた
物で、その場所に置くことによって、空間をひきたてて、マッチして
いました。

以前新築祝い物として、京都の石屋で置物を買ったことがあります。
石屋さんからの提言で、縁起物として五色砂利を敷き詰めたらとの
ことで取寄せてもらいました。その建物に合った品物を探し回るのは
楽しいことです。フランク・ロイド・ライトのようには贈れませんが。







医療用語
 040107

アカウンタビリティ・・・・・・・説明責任
インフォームドコンセント・・納得合意
セカンドオピニオン・・・・・・第二の意見

医療についての用語がその他の分野に波及しています。
サービスを受ける立場の人が不利益をこうむらないように、事前に
検証・納得でき、最終判断材料になる情報を開示する傾向です。

建築設計においても、一例として、2003年7月から施行された法律
でシックハウスに関する内容に対して
・アカウンタビリティ・・説明責任
家族全員の化学物質過敏症・アトピー等の既往症を確認し、対処する
グレード=仕上材・換気方式の説明提案、入居後の家具・タバコ・
芳香剤等による化学物質の発散の影響、生活様式の提案。

・インフォームドコンセント・・納得合意
改正建築基準法の対象化学物質のホルムアルデヒド規制値の規準は
28℃の数値です。30℃を越える真夏日では基準値を越える可能性が
あります。シックハウス症候群が発症するのか、個人差もあり不明です。

・セカンドオピニオン・・第二の意見
設計者が仕上材・工法に留意しているか確認。

シックハウスの項目は建物設計の要点の一部です。特に住宅は要素
が多く、何に重点を置くか、クライアントの関心のあること・生活様式で
異なります。自分流の納得する建物を建てるためには、設計者と密な
コミニュケーションをとることが、大切な要素の一つです。






省エネ
 031125

家電品の新製品と10年前の製品の省エネギーの比較が全面広告で
新聞に載っていました。

・空調機 消費電力 904Kw(10年前の56%)   16,000円節約/年
・冷蔵庫 年間電気代 4,140円(10年前の15%)  23,200円節約/年
・洗濯機 年間水道代 5,400円(7年前の39%)   8,400円節約/年
・スチームオーブン 年間電気代 3,800円節約/年
 金額は概略です。

販売価格
スチームオーブンは2003年-90,000円、1993年-88,000円
その他はオープン価格で10年前と比較すると同金額程度から7割と
安くなっています。製造を東南アジアに委託したり、外国製品に対抗
するために低価格になっているようです。

トヨタの低公害車プリウスの納車は3ヶ月もかかるほどの人気車です。
世界トップレベルの低燃費と、同じクラスの普通ガソリン車と同等の
加速に性能が上がりました。
販売価格は最も安い機種で215万円、普通ガソリン車よりも構造が
複雑になる分、約40万円高く(22%)なります。

省エネ建物として外断熱工法は内断熱に比べて10〜20%施工費が
上がります。
・内断熱に比べて増加部分・・・外装材取付け金物、外部に断熱材を
 貼ることによって開口部の調整納まり材が必要です。
・内断熱に比べて不要部分・・・内断熱では内壁の下地が必要ですが
 外断熱では仕上にもよりますが、下地を省略できます。

外断熱建物の耐久年数は100年と謳っています。北海道の築25年
の外断熱建物(断熱材厚さ100・150mm)二棟の解体や改修する
建物のコンクリートをそれぞれ観察すると経年劣化が少なく、200年
でも耐久性があるとの状況のようです。
外断熱工法は初期費用は上りますが、省エネで空調費を1/3削減し
耐久性も増して、室環境が快適になり、費用対効果は高くなります。






音  楽 031021

ノーベル賞を受賞した小柴教授が「アイシュタインとモーツァルトは
どちらが天才か」との質問に、対談相手の女性NHKアナウンサーは
はっきりと答えず、二度の再質問のあとに小柴教授が「モーツァルト
でしょう」と言われました。アインシュタインの「相対性理論」は彼が
発表しなくても、いずれは他の物理学者が発見するだろう。一方
モーツァルトの楽曲は彼のみが作曲できたのであって、他の音楽家
で代わることはできません。


人は芸術作品に触発されて感動します。絵画・彫刻・書は観察して
感服します。例えば絵を見る時に構図・色調・バランス・配置等々を
見ることで、具体的な対象物(抽象画であっても)によって心理的に
刺激を受け感情が涌いてきます。

音楽は聴くことによって喜怒哀楽を感じます。音だけで感情に影響
を及ぼす力は不可思議です。ある音楽を聴いて何故うきうきと楽しく
なるのか、何が楽しくさせるのか不明です。一例として長調・短調の
曲調から受ける感じの違いはありますが、何故そのように感じるのか
モーツァルトはその術を知っていたのか。音符の配列・組合せで成り
立つ音楽で感動を呼び起こす曲を創ることができるのは才能でしょう。


「建築は凝固せる音楽」・・ドイツ哲学者シェリング、後年ゲーテ書簡
「建築は凍れる音楽」・・薬師寺東塔見学時のアメリカ人美術研究家
フェノロサ、後年和辻哲郎著書

今日の建物で上記の「音楽」と呼ばれるようないつまでも色あせない
芸術作品のような建物は公共建物を含めて少なくなってきています。
見ることで美的な感情をいだく建築、音楽に匹敵する感動を与える
内部空間をもつ建物、後々まで残る建物を厳しい条件下にあっても
設計できればと思います。






カステラ 030818

長崎カステラの老舗店の話です。
最高級のカステラは卵・砂糖・小麦粉を混ぜたタネを枠(器)に入れて
オーブンで固定して焼き上げます。同じ材料をヒーターのトンネル内を
移動させて、最高級の焼き方と同じ火加減・時間でトンネルの出口で
完成する商品は、大量生産の普及品として売られています。
最高級品と普及品とは美味しさに歴然とした差があります。

屋根瓦で有名な三州瓦は千度以上の高温で焼き、固定式で焼いた瓦
は色のムラ・寸法が微妙に違う製品ができ、技量のある屋根葺き職人
でないと葺けません。葺きあがった屋根は材料の不揃いが「趣のある」
要素になります。上質の職人が少ない現在は工業製品のような均一な
製品が求められ、ベルトコンベアーでバーナーの中を流れて作られる
瓦が主流になっています。耐久性も固定式のほうがあるようです。
(by 鈴木猛夫様・文責iso)

コストダウン・効率化による大量生産方式で均質な一定レベルの製品
を手に入れることができます。一方で手間をかけた製法の品物は割高
になり、時間もかかりますが一味違うプラスアルファを含んだ、こだわり
を持った部分が生活に潤いを増やします。






デ フ レ 030715

建設施工費もデフレ傾向で下がっています。下請け・孫・ひ孫請け
と下部にいくほど厳しいようです。工業製品や製作は外国品で安く
なりますが、建築の場合はマン・パワーで人々が手で作り上げて
いきます。建築も業種によっては外国からの輸入材料や製作・組立迄
の製品も入ってきています。設計事務所に対して設計図を外国で書く
システムの売込みもあります。

ある研修会で聞いたのですが製品のコストダウンとして、開発部が
見えない部分例えば製品の補強の為に裏打ちされた鉄板を薄くする、
工場製作が薄くしたことによって困難になり時間をロスする、販売
価格が低くなって売れるが、製品のバランスが崩れているので補修
部門の修理頻度が増し、当初のコストダウンがトータルでみれば前
と変わらない。最近の製品の品質は落ちている。安いからと外国の
農薬のかかった野菜を輸入する。コストダウンにより低価格だが
購入者は何らかの不利益を受けている。

建築には限りませんが「職人気質」という言葉があります。
一応仕上げても自分が気に入らなければ壊してもう一度やり直す。
自分に正直で相手に対して良心的でした。請負単価が抑えられた現在
では相手に指摘されるまで手直ししないで、相手が見逃せばそのまま
やり過ごすという職人もいます。あまりに低金額も考えものです。





2003年問題 030707

東京での高層ビル・マンションが2003年に集中して竣工します。
テナントが最新のIT環境の整備されたビルに移転し飽和気味の
在来ビルの空室の増加が問題になります。他の地域でも不況で
テナントの引揚げ・移転が起こり市街中心地にあるビルの空室が
増えています。そこでビルの用途変更として住居に改装する案が
浮上してきました。

用途変更に際して集合住宅の法規を満足しなければなりません。
○二方向避難
 a.メイン階段+バルコニーから隣戸または下階に避難
 b.二ヶ所の階段への重複距離(それぞれの階段までの住戸からの
  経路で途中までの同じルートの距離)が一定の距離以下

○一番のネック(不都合)は「採光」が取れるかでしょう。
 事務所・店舗は「採光」は不問で、住宅に変更すると居室(居間・
 食堂・台所・寝室・和室・洋室等)の床面積の1/7以上の有効採光
 面積の窓が必要になってきます。
 
 現在集合住宅で間口が狭く奥行きの長い住戸プランでは真中付近の
 スペースを有効採光が取れなくて「フリースペース」「納戸」と称して
 扱っています。
 もともと住宅を想定していない事務所ビルで都市計画法の商業地域
 と近隣商業地域(概略で中心商業地・主要な鉄道駅周辺・一部主要
 道路沿い○m以内の範囲)の建物では内部の居室でも一定の条件を
 満たせば居室扱いに認める法律が追加される予定です。






長寿品 020416

4/10にNHK「クローズアップ現代」で「売れる長持ち商品・背景は?」と
いう題名の放送がありました。アメリカ製フードプロセッサー、ドイツ製
掃除機、業務用モーターを使った食器洗機が紹介されていました。
10年間補償でパーツは20年間保管を基本としています。

掃除機を買替えた人は日本製を使っていたが壊れてもパーツの保管
期限が切れて部品がなかったり、修理より買い替えのほうが安くつくと
言われ三代目は修理のことまで対応しているドイツ製品にしたそうです。

価格は少々高くなりますが、使い捨ての浪費型から物を大切にする資源
節約型の考え方が増えています。建物に対してもこのトレンドに乗って
長耐久で省エネルギーになり、快適な室環境の外断熱建物が認識される
でしょう。





マンション 020517  

「日経アークテクチャー」5/13号「マンションブームの舞台裏」の記事で
最近の都心型マンションの実態が書いてあります。開発業者(売主)は
広告やモデルルームを豪華にし商品イメージ優先の販売計画で販売
経費を高め、デフレ傾向の施工費を落とし設計監理費も削られている。
肝腎の建物本体の品質に、低い施工費と設計監理費によって影響が
出かねません。

分譲物件(マンションやオフィスビル)では分譲建物とパンフレットの食違い
例えばコンセントや電灯の位置の食違いがないようパンフレット作成時
校正に神経を使います。購入される方は使用部分の詳細図を見せて
もらい図面の説明を受け、どのような仕様になるのか確認することに
よって建物のグレードや事業主(売主)の姿勢がわかります。
モデルルームに図面がなければ施工会社か工事監理を行っている設計
事務所に販売員を通じて取り寄せて見ることができます。

資産価値のある建物を手に入れるには購入前にチェック項目を作って
質問し検討することが必要です。当HPの結露・断熱仕様も主要項目の
一つです。





マンション新法 020617

02’6/12に「マンション建て替え円滑化法」が成立しました。
建築後30年以上のマンションが00年-12万戸、2010年には93万戸と
予想されています。区分所有者の4/5以上の賛成で建て替えが可能
です。建て替えには入居者の意思統一が必要で神戸淡路震災では
倒壊建物の跡地をマンション業者に売却したり、等価交換で再建した
マンションに入居できたケースもあります。多くは敷地の立地条件が
良い所や、建て替え前より住宅の戸数が増加できる等の民間事業者
にメリットのある場所で行われました。現在の地価状況では事業者は
少なく、新法は入居者同士で法人格を持った建て替え組合を設立でき
これからスムースに建て替えができるよう指針や勧告が整備されます。

これから建てる建物は100年単位の長耐久・省エネルギーで地球資源の
削減に貢献できるのは外断熱建物です。結露の生じない住み心地の良い
資産価値の高い外断熱建物を建てませんか。






ホスピタリティ 020701


現在失われているものに、本物のホスピタリティ[=親切にもてなす
こと→hospital(病院)からの派生]があると思います。
マニュアルに依るサービスが多い中、ハプニングが起きた時に真の
対応がわかりますが事務的な応対が多いようです。

○大書店のインターネット・サイトで本を注文しましたが取扱いして
 いませんでした。翌日その本屋さんへ電話で取寄せの問合せをし
 2冊共その書店では扱っていないことがわかりました。15分後に
 店員から、其々の本の出版元とTEL・FAX番号と一冊は残部数が
 少ないので早めに予約したほうが良いとの連絡がありました。

○建物を設計する時に役所(市役所・消防・警察等)に調査・相談
 に行きます。設計を初めて経験する市で調査に行った時に最初
 の窓口でその市独自の条例・必要手続きの概要を教えてくれて
 詳細内容は各部署の担当者に尋ねることができました。
 このようなケースは稀で、役所の窓口は質問した内容のみの返答で
 さらに突っ込んだ誠意のある説明は少なくて実際に書類を出した時に
 指摘されることがあります。行政も一つのサービス部門と考えればホス
 ピタリティのある対応を望みます。

○設計事務所も施主の建物設計をするにあたって、ホスピタリティを
 持って専門知識を有効に生かす必要があります。
 特に住宅はチェックポイントが多く、施主毎の生活様式も違い設計
 に際して質の高い建物を目指さればと思います。


 





建物見学T 020711 

以前勤務していた設計事務所で年3回くらい建物見学の勉強会を行って
いました。朝から5,6ヶ所の建物を1ヶ所30分前後で見て廻り夕食後に各
建物毎に全員が感想を発表し意見交換をします。感想会がなければ良
い催しだと思っていましたが、全員が意見を発表するので後の順番では
自分の意見と重複したり、自分と違う観点からのコメントを聞くと改めて
建物を観る目が広がります。

一つ気がついたのですが見学中に写真を撮っている人とカメラ無しの人
の観察する密度の違いです。カメラ持参の人は雑誌に載っていた写真と
同じ角度で撮ろうとしたり、無人の建物を写す為に人がいなくなるのを待
ったりと写真を撮る事に時間をとられます。それに反して無カメラの人は雑
誌の写真以外のアングルから見たり、図面と見比べながら建物の裏側や
興味深い所を見つけスケッチや実測をしたりと目一杯に建物観察に時間
を使います。感想会の時に撮影に専念した人達は見逃した箇所が多いよ
うです。プロの写真家と同じように撮ることは難しく雑誌以外の写真を撮る
ほうが後々の資料になります。

図面や雑誌で見て想像する建物より実物の内部に入って空間を感じて、
建物の細部まで観察し、仕上材を触り、禁じ手ですが軽く叩いて下地や
材料の硬さ・感触を確かめ、資料に無い気を配ったデザインを見つける
と感動・驚嘆します。






建物見学U 020723

見学する建物は雑誌で脚光をあびたり、著名な建築家が設計した建物
や美術館・寺院・集合住宅等ヴァラエティーに富んでいます。
国宝の茶室や宮内庁の建物(桂離宮・修学院離宮)は予約が必要ですが
ほとんどはアポイント無しで行き、管理事務所があれば了解をもらったり
鑑賞券を買って見学します。

建物内部の見学は受付の担当者レベルで対応がずいぶん違います。
去年7月に見学に行った八ヶ岳音楽堂は宿泊施設の付属建物で、普段
は閉まっています。従業員の方達は建物の設計者名(吉村順三氏)も
ご存知で建物に誇りを持っているようでマイクロバスの運転手の方は
「天気の良い日中には舞台裏ガラス越しに富士山が見えることもあり、
積雪した夜景も良い」と教えてくれたり、リハーサルが始まるまで客席
を見学することができました。

フィンランドでアルヴァ・アアルトの建物を主に見学した時にも内部の
ライトを点けてくれたり、総務の人が案内したり、帰り際に新築当時の
建物の絵葉書をもらったりと親切な応対で存分に見学できました。

2年前に京都北山にある音楽ホールに見学したい旨を受付けに申し出
ると「コンサートが催される時に切符を買ってください」と言われました。
客席部分は閉まっていましたが、らせん状のスロープを上がった2階の
ホワイエ(客溜まり=ホール)だけでも見学させてもらえないかお願い
しましたが断られました。一緒に行った東京からの知合いや、たまたま
いっしょの韓国から見学に来た若い学生達数人は残念がっていました。
その日には演奏会は無く職員は事務室でお茶を飲みながら談笑してい
ました。

以前に見学者の失礼な行動があったのかもしれませんが、公的な建物
では見学に対して親切な応対が少なく遠くから来た人への配慮が欲しい
ものです。

以上、見学者の立場から書きました。

 





品確法 020920

H12年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
(略して品確法)は大きな骨子が三点あります。

@全ての新築住宅において基本構造部分(柱、梁など住宅の構造
耐力上主要な部分等)の瑕疵担保責任を10年間とする。又、主要
構造部分以外を含めた瑕疵担保責任を20年まで延長可能とする。

A住宅性能表示制度
 ○新築住宅・・9分野29項目(内5項目が選択)
 ○既存住宅・・現況検査による劣化等の状況の評価と選択項目と
  して6分野21項目
上記項目を第三者評価機関にて設計・建設評価書の交付を受ける。
新築住宅のみ請負契約書に「設計住宅性能評価書」を添付して性能
を有する住宅の建設工事を行うことを契約したものとみなす。

B新築・既存住宅でAの「建設住宅性能評価書」が交付された場合
には紛争処理機関で裁判外で簡易・迅速・安価に紛争処理ができま
す。運営負担金4000円、申請手数料1万円であっせん・調停・仲裁を
申立てできる。
 
        ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

先日、性能評価員の講習会を受講しました。講師の国土交通省職員
によると最近の傾向として融資に際して住宅性能評価を義務付けたり
優遇金利を設定している金融機関もあるようです。

H14.6末迄に設計評価書の交付戸数が91049戸、建設評価書の交付
戸数が20484戸(住宅性能評価機関等連絡協議会)と少ない状況です。
評価申請に係る手続きの煩雑さが一因と思います。申請書類の多さ
と施工現場の対応や書類の準備にコストがかかり、評価申請料プラス
経費が購入主に負担になります。
大手ハウスメーカーでは「型式住宅」の認証をとり簡便に評価を受け
やすくする方向で、評価書取得をセールスポイントにしています。

建設評価の現場検査は3階建では4回、高層住宅では2、10、17Fと7層
ピッチで回数が増え、検査外の階は施工会社の書類提供です。

設計監理契約の内容にもよりますが、設計事務所の監理は倍以上の
回数の現場訪問をして施主報告書も届き安心した建物になります。
上記の内、新築住宅の場合24項目は必須項目ですが、必ずしも全て
の項目をチェックしないでも施主と設計者が選択し住み心地の良い
住宅ができます。設計事務所が設計監理をすることによって充分に
対応できます。
現在いろいろな業種で反倫理的な問題が起きていますが、最終管理
の対応の仕方で企業モラルが問われています。建物も設計図書どおり
の施工がされているか、設計施工の自社管理よりも第三者の立場の
設計事務所の工事監理は必要です。

Bの紛争処理は本裁判(費用100万単位?長時間)に比べ手軽に行え
ます。しかし住宅は竣工後から保守管理が必要で、施工した会社と
末永い友好的な関係を保つためにも設計事務所を介在さすのも一つ
の方法です。





自己責任 021121

「外圧」による「規制緩和」で建築分野も建築基準法の大改正をはじめ
諸制度の変更が進んでいます。建材や工法の規定も「仕様規定」(材
料や仕上等細かく規定していた)から「性能規定」(目標になる性能を
持つ)に制度が変わりました。建築設計事務所の更新は5年毎で更新
手続書類に管理建築士の国土交通省大臣指定の講習会の修了書
添付を義務付けている県もありますが、この講習会も2年後には行わ
れなくなります。ちなみに大阪ではCPD(継続能力開発)という制度で
研修や自己啓発した単位数をコンピューター登録し一般公開する予定
です。

S.53に構造の規準が大幅にかわりました。「新耐震」と呼ばれ神戸の
震災で倒壊しなかった建物に「新耐震」後の建物が多い。建築基準法
は改定されても改定以前の既存建物は遡及(過去にさかのぼる)しま
せんので「新耐震」に適合しない建物でも法律違反にはなりません。
S.53以前に確認申請を受けた建物は特に耐震審査を受けることを
お薦めします。各地の役所の建築課・建築士会・建築事務所協会等に
問合せください。これからは建築に限らず自己責任が求められます。
各分野の専門家に相談してアドバイスを受ける時代です。






改正区分所有法 021205

12/4に分譲マンションの建て替え要件を緩和する改正区分所有法と
改正マンション建て替え円滑化法が参院を通過成立しました。来年6月
までに施行されます。
これまでの区分所有法では区分所有者の4/5+建物の維持に過分の
費用分担を要する時、という二要件を定めていましたが、改正区分所
有法では4/5以上の賛成のみで建て替えができます。大規模修繕は
旧来の3/4から改正法では1/2以上の賛成で可能です。

国土交通省によると分譲マンションの総戸数は約385万戸に上る。
建築後30年以上のマンションが00年-12万戸、2010年には93万戸に
増加予測。

鉄筋コンクリート造の建物がわずか30年位で建て替えするのは、余り
にも短い。これからは長耐久効果があり省エネ仕様の外断熱工法の
建物で省資源に対応する必要があります。2〜30年毎に建て替えたい
という考え方もありますが、建物の外周は変更できませんが間取りの
更新はできますので家族構成の変化などにも対処できます。






現場監理 021215

大手マンション業者の新聞広告に「住宅性能評価書」を取得済みが
謳ってありました。
@性能が数値や等級で表示されてわかりやすい。
A現場検査の厳しさによる安心。
Bトラブルが生じた時には紛争処理機関が利用できる。

@・Bは消費者保護の立場で利用できます。
Aについては施工中のことで「設計性能評価」(図面・書類)どうり施工
されたかを「建設性能評価」(現場検査と書類報告)で指定機関の検査
を受けます。実際の検査は3階建で基礎配筋・中間階・最上階・完工時
の4回、高層階では2・10・17階と7層ピッチで行いその他の階の検査は
ありません。現場検査の無い階は施工会社の書類提出です。

「住宅性能評価書」を受けない建物は建築確認を出して完工検査を
受けます。市役所か民間確認検査機構で現場検査をします。回数は
地方によって異なりますが「性能評価」の現場検査よりも少なく現場
検査の無い階(基礎や最上階を除く殆どの階)は施工会社の書類提出
です。

大手の設計事務所の監理部門で常駐している知人によると大手建設
業者であっても自社管理を下請けに委ねミスが多い会社もあるようです。
建設会社のチェックだけでなく第三者である設計事務所による施主側
の立場に立った監理で安心な建物を建てませんか。






建築基準法 030208

近年の建築基準法等の改正・追補はめまぐるしい状況です。市街地
の狭小敷地で僅かですが建てやすくなったり、シックハウスの原因の
化学物質を順次追加予定です。構造も木造住宅の詳細な規定もあり
現在の基準法では、S55年以前の既存住宅は殆ど適合しません。
建築基準法は遡及(過去にさかのぼって合法に強制改善)しないので
増築等をしない限りそのまま居住できます。ただし耐震診断を受けて
補強をお薦めいたします。業者は行政の建築相談窓口・建築士会・
建築事務所会等で紹介してくれます。
又、省エネ法改正で一定規模の建物(非住宅)に対して省エネルギーの
措置の届出が義務付けられます。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)・マンションの管理の
適正化の推進に関する法律・日本住宅性能表示基準・評価基準の
告示・ホルムアルデヒド対策の表示を必須指定・住宅紛争処理支援
センターの指定(H12)、マンションの建替えの円滑化に関する法律・
シックハウス対策に係る規定の追加・既存住宅に係る住宅性能表示
制度の開始(H14)等々、居住者に一定レベルの健全・良質な建物を
提供できる判断材料の目安となるよう情報開示を建築設計事務所も
しなければなりません。

◎斜線制限・・道路・隣地境界線から一定の勾配斜線を越えないように
建物の高さの制約
@【以前】道路境界線の反対側から水平1.0、垂直1.25又は1.5の勾配
斜線、隣地境界線で20m+水平1.0、垂直1.25又は31m+水平1.0、
垂直2.5の勾配斜線
A【最近迄】建物と境界線までの距離分だけ@の勾配斜線の起点を
敷地外側に移動する
B【現在】Aの高さで境界線巾全てに建った時の空の見え方が同等
以下であればAの斜線制限を越えても可→「天空率」という考え方
実際の建物は境界線巾一杯に建つことはあり得ません。両サイドの
境界線からいくらか控えて建てます。控えた部分をAの越えた部分に
上乗せできます。この考え方は「総合設計制度」を準用しています。
一定の規模(原則1000u、行政によって500u)で公開空地という空地
を設けて、斜線制限の緩和・容積率(敷地面積に対する延面積の割合)
の割増が適用されます。今回の改正は敷地規模や公開空地設置の
条件が不要で適用されます。Aも併存します。

◎採光・・・居室の床面積の一定割合の窓面積を設置(住宅の場合は
居間・食堂・寝室など居住のための室対象で床面積の1/7の窓が必要)
@【以前】法律上有効な採光の窓は、窓のある壁面の最上部から
水平1.0、垂直2.5、4.0、5.0のいずれかの勾配斜線が隣地境界線に
当たった高さの地点上部が有効とみなされます。1階部分の窓の有効
採光が困難でした。
A【現在】複雑な補正式によって@【以前】より隣地境界線の距離を
離さなくても有効になった。

法律的なことをクリアーするのは設計者の仕事ですが、年々歳々提出
する書類が複雑になっています。





先 生 030217

学校以外で「先生」と呼ばれる職業に医師・弁護士・税理士があります。
意外にも建築の設計をしている人も呼ばれることがあり戸惑います。
電話で「社長」と呼ぶのは、殆ど投資関係の営業で「先生」の呼び方
をするのは建設会社・建材メーカーなど建築業界の方で、施主にも
呼ばれることがあります。上記の三業種の方々とちょっとニュアンス
が違うと思っています。

医師は患者の体を、弁護士は事件の真相を、税理士は金銭の全てを、
建築設計はその家庭の生活様式を、とプライバシーを知ることになり
守秘義務があります。

【依頼するときの立場】
三業種(医師・弁護士・税理士)に依頼するときには病気や法的、経理
で困った時で弱気になった時で「先生」のアドバイスも割りと素直に
聞いてもらえます。
建築に設計を依頼するときには、事業に成功したり希望をかなえる為
に人生計画を立て強気・元気な方が多く一つの考えを持たれて「先生」
を圧倒することもあります。

【報酬】
きっちりとした制度の医療関係、近々に報酬規定がなくなる弁護士、
オープン化された税理士、国交省の告示で設計費の算定基準があり
ますが実勢は下回っているのが建築設計業です。建築以外の三業種
は報酬に対する理解があるようですが、設計報酬の認識が弱いのが
残念です。

【説明】
依頼主はどの業種に対しても法的・専門的な分野にわからないことが
多く各「先生」は同業以外の人々に理解できる説明が必要です。
医療界では「セカンド・オピニオン」というアメリカのシステムが入り
初めています。第二の病院にかかって病気の実態を把握するためで、
建築設計界も設計者と工事監理者を分ける方式も僅かですがあります。
が、設計者の考えが監理する人にうまく伝達できるのか、低い設計料
で費用の分担も困難です。






アレルゲン 030327


子供に多いアトピー・ぜんそく・アレルギー鼻炎の原因は食物による
ものと環境に起因するものがあります。ステロイドなどの薬の処方と
住環境の整備で治癒するケースもあります。

アレルゲン(病気の原因となっている抗原)として食物ではミルク・
卵白・小麦等、吸入性アレルゲンではダニ・ハウスダスト・カビ・
猫や犬の皮屑・スギ等の花粉です。

住宅のダニ・ホコリを除去するには、3日に1回の掃除機を20秒以上
1平方メートルあたりにかける=6畳で約3分間。布団も日干し後に
掃除機をかける。セントラル・クリーナーが理想的ですが、掃除機の
排気に気をつける。ペットを室内で飼わない。

ダニは食物のかすやカビを食べます。婉曲的にいうとダニの低減や
カビ(真菌)の発生を防ぐには結露を生じない外断熱工法も一つの解
です。






コンペ 030414


よりよい建物を建てるためにコンペ方式(複数の設計者により最良の
計画案を決める)があります。対象建物は市庁・図書館・美術館等の
公共の建物が多いのですが民間の建物でも行われています。

コンペと銘打たなくても、ある敷地に集合住宅を計画をしてマンション
ディベロッパーに何社かの設計事務所が提案します。計画案も建物の
配置が、例えば日影規制(敷地周囲に一定時間の日影を生じさせない)
に対応するために南北に長い建物や東西に長い建物を南側に配置
等設計事務所によって計画が異なります。マンションディベロッパー
によっても事業方針が違うので計画案を複数のマンション業者に提案
することもあります。

最近は雑誌・インターネットで住宅コンペも盛んになっています。
但し住宅はコンペになじまないものです。敷地形状と所用室や簡単な
要望の募集要項のみで質疑・打合せもわずかしかできません。
一発勝負的な計画では建主の好みに合うかの「運」まかせの要素が
多い。気に入った案でも変更・改良の打合せが必要で、住宅設計には
密接なコミュニケーションが重要です。家族ごとに生活様式が異なり
その家族に合った住宅を設計することは他の種類の建物設計に比べて
はるかに多くの話し合いを持たなければなりません。人柄・価値観が
自分と合う信頼できる設計者を探しまくって依頼するのが希望どおりの
建物を手に入れる近道です。






シックハウス 030521


7/1より施行されるシックハウス対策の為の法改正の講習会を受け
ました。「シックハウス症候群」は新築・改築された住宅・ビル内で
居住者が様々な健康を害する症状です。
1977年に米国フィラデルフィアの在郷軍人会の集会で空調機による
事故で多数の人々が発症し「シックビルディング症」と呼ばれるように
なり、在郷軍人=Legionnaire(レジオネア)症候群とも呼ばれています。

厚生労働省は室内空気汚染の原因となる化学物質の濃度の指針値を
13物質指定しています。
今回の規制措置はホルムアルデヒドとクロルピリホスの2物質です。
トルエン・キシレン等も調査後に順次規制対象に検討しています。

○ホルムアルデヒドの規制
1.内装仕上材のホルムアルデヒドの発散量のランクと換気回数による
 係数によって仕上材の使用面積が制限されます。
2.家具等からの発散のために機械換気設備が義務付けられます。
 住宅では換気回数0.5回/hの設置が必要です。
3.天井裏・床下・物入等からのホルムアルデヒド流入措置として
 a.ホルムアルデヒドの発散材料を使用しない。
 b.気密層又は通気層止めを設けて居室と区画する。
 c.天井裏なども換気できる仕様にする。
○クロルピリホス
 しろあり駆除剤の使用禁止
7/1より工事着工建物に準用します。

上記をクリアーした建物でも化学物質の発散が皆無になることは
ありません。家具・カーテン・じゅうたん・開放型ストーブ・防虫剤
芳香剤・消臭剤・ワックスなどにも化学物質を発散するものがあり、
タバコもホルムアルデヒドを放出します。

新築建物で、ある程度の化学物質に曝されるか低濃度の化学物質に
長期に曝されると化学物質過敏症になる場合があります。いったん
発症すると微量な化学物質で反応し、クリーンな環境でないと生活
できなくなります。個人差があり一概には言えませんが入居時から
換気を積極的に行い、持込みの生活用品に留意する必要があります。

詳しいパンフレットは「住まいの情報発信局」の「シックハウス対策」で
ダウンロードできます。






関西事情 030621


先々週に大阪で賃貸住宅フェア―がありました。
木・金の週日2日間で小雨模様のなかでしたが盛況でした。

金曜日に外断熱のブースでリーフレットを50枚くらい配って
興味をお持ちの方々に質問を受けたり説明をしました。

外断熱の良さを理解されている方からは価格が高くなるのが一番の
ネックだとの意見が多く、内断熱の建物寿命の30年で賃貸物件の
収支をはじいているので、その都度建替えれば良いという考えの
オーナー様もおられました。
外断熱を採用することで工事費が高くなり家賃に反映さすことは
現在の状況ではむずかしいとの指摘がありました。建替えの周期
が延びることによって次の世代に資産価値の高い建物として受継
がれて初期投資は高くなりますが長寿命の住み心地の良い健康に
寄与する外断熱建物が認識されつつあります。

関東の賃貸オーナーで将来の借主が「アレルゲンの発生が減少する
外断熱建物・冷暖房費が低くなる外断熱工法の建物」の希望が増え
高耐久の建物を外断熱工法で建設されている事業者様もいます。

先週の木曜日にNPO主催の「外断熱フォーラムin大阪」が開催され
130名超の来場で外断熱に対する関心が強まっています。関西の
大学の研究室とNPOとが高温多湿に適合するプロトタイプの方法
を研究する会合が予定されています。


              

現況報告